2025年後期の朝ドラ『ばけばけ』が始まってから、モデルとなった小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「左目」に注目が集まっています。
ドラマでは俳優のトミー・バストウさんが演じるレフカダ・ヘブンの左目に特殊メイクが施され、視聴者の間で「義眼を使っていたのでは?」という噂が一気に広まりました。
SNS上でも「八雲は義眼だったの?」「史実とどう違うの?」といった疑問の声が目立っています。
この記事では、義眼説の真偽や、なぜこの噂が広まったのかを史実と照らし合わせながら解説します。
小泉八雲の義眼の噂は本当?
小泉八雲が義眼を使用していたという確かな証拠はありません。
史料や家族の証言からも「義眼は使わなかった」とする記録が残されています。
彼は16歳のときに校庭遊戯中の事故で左目を失明しましたが、義眼を入れることはせず、終生そのままの状態で過ごしたと考えられています。
実際に八雲に接した人々の証言にも、義眼に関する記述は確認できません。
小泉八雲の義眼の噂が広まった理由は?
では、なぜ小泉八雲に「義眼を使っていた」という噂がつきまとうのでしょうか。
理由の一つは写真のポーズです。
残された肖像写真の多くは右顔を強調して撮影され、左目は陰になっているか伏せがちに写っています。
そのため「隠しているのは義眼だからでは?」と推測されやすくなったのです。
さらに、19世紀末から20世紀初頭は義眼や義歯を入れることが珍しくなかった時代であり、「見た目を補うのが普通」と考える人が多かったことも影響しています。
こうした背景が組み合わさり、いつしか「義眼説」が広まっていったのではないでしょうか。
義眼を使わなかった証言
八雲の長男・小泉一雄さんは著書『父小泉八雲』で「父は義眼をしなかった」と証言しています。
理由は「嘘やごまかしを嫌う性格」だったからです。
また、東京帝国大学で教え子だった英文学者・田部隆次さんも「左の眼球の上に白い星がかかっていた」と記録しており、義眼ではなく白濁した本来の眼球が残っていたことを示しています。
つまり、史実としては「義眼ではなかった」と考えられますね。
朝ドラ『ばけばけ』は義眼?
ドラマ『ばけばけ』では、トミー・バストウさん演じるレフカダ・ヘブンの左目に特殊メイクが施されています。
これは白濁した義眼風のコンタクトレンズを用いて、視聴者に「失明の事実」をわかりやすく伝えるための演出です。
ですのでトミー・バストウさん演じる小泉八雲は失明しているのであって義眼ではありません。
SNS上では「本当に義眼だったのかと勘違いした」「特殊メイクがリアルすぎる」といった感想が相次いでおり、ドラマの演出が噂を後押しする形になったことは否定できません。
視聴者の反応とSNSの声
放送後のSNSでは「八雲は義眼だったの?」「史実をもっと知りたい」といった投稿が数多く見られました。
一方で「義眼ではなく失明したまま過ごした」という史実に触れて驚く人も少なくありません。
X(旧Twitter)では「八雲が義眼を嫌がったのは彼の性格らしい」「朝ドラで初めて知った」という感想が広まり、ドラマが史実への関心を呼び起こしていることがうかがえます。
こうした反応は、歴史上の人物を描くドラマの影響力を改めて示していると言えるでしょう。
まとめ
朝ドラ『ばけばけ』をきっかけに再び注目を集めた小泉八雲の左目。
義眼を使ったという噂は誤解でしたが、その噂が語り継がれてきた背景には、写真や演出の影響、そして当時の社会的な常識がありました。
史実としては「義眼を使わなかった」という点がはっきりしていますが、噂が人々の関心を集めるのも事実です。
ドラマを見て疑問を持った方は、こうした史実に触れることで八雲の人生や作品をより深く味わえるのではないでしょうか。
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